映画「サンゲリア(1979)」グロ・ゾンビ映画の最高峰

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「サンゲリア」は、1979年に公開されたイタリア・アメリカ合作のホラー映画です。

ジョージ・A・ロメロ監督の「ゾンビ」の世界的ヒットを受けて製作されたゾンビ映画の一つです。

「ゾンビ」の翌年に公開されると、こちらも大ヒットし、ルチオ・フルチ監督の名を世界中に知らしめることになりました。

この記事では、作品情報・見どころを語っていきます。


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目次

作品情報

概要

「サンゲリア」のタイトルは、配給を手がけた東宝東和が、イタリア語で流血を意味する「サング(sangue)」と、同社の大ヒット作「サスペリア」を組み合わせて作った造語です。

ジョージ・A・ロメロ監督の「ゾンビ」が風刺や社会性を込めていたのに対し、本作ではシンプルに、グロテスクな表現を徹底的に追及しています。

そのことがホラー映画としての純粋なエンターテイメント性を高め、ロメロ監督の「ゾンビ」とは違った魅力を持つ作品に仕上がっています。

本作の大ヒットにより、フルチ監督はホラー映画の巨匠としてロメロ監督と並び称されることになります。

ロメロ監督の「ゾンビ」は、顔を青く塗った、どちらかといえば人間に近いゾンビとなっていましたが、本作に登場するゾンビは、腐乱死体やミイラのような、人体を腐らせた造形が特徴となっています。

ゾンビが肉を噛みちぎる、眼球が木片に突き刺さるなど、痛みの伝わる表現も徹底しています。

これらの人体破壊を徹底的に追求した、おぞましくグロテスクな描写が評価され、現在も「ゾンビ」と並び高い人気を誇る名作となっています。

スタッフ・キャスト

  • 監督:ルチオ・フルチ
  • 脚本:エリザ・ブリガンティ
  • 製作:ウーゴ・トゥッチ、ファブリツィオ・デ・アンジェリス
  • 撮影:セルジオ・サルバーティ
  • 音楽:ファビオ・フリッツィ、ジョルジョ・トゥッチ
  • 特殊効果:ジャネット・デ・ロッシ
  • キャスト:イアン・マカロック(ピーター・ウェスト)、ティサ・ファロー(アン・ボールズ)、リチャード・ジョンソン(デビット・メナード医師)、オルガ・カルラトス(ポーラ・メナード夫人)、アル・クライヴァー(ブライアン・ハル)、アウレッタ・ゲイ(スーザン・バレット)

あらすじ

ある日、ニューヨーク湾に1隻のクルーザーが流れ着きます。

警官が調査のためにクルーザーに乗り込むと、中から全身が腐乱した男が現れ、男に噛み付かれた警官が犠牲になってしまいます。

クルーザーの所有者の娘のアンは、この事件に興味を持った新聞記者のピーターと共に、バカンス中の夫婦の船に同乗し、父親がいるはずのカリブ海のマトゥール島に向かいます。

ところが、マトゥール島では死者が蘇り生者の肉を食らうという、恐るべき奇病が流行り始めていたのでした。

見どころ

死体としてのゾンビを追求

ジョージ・A・ロメロのゾンビは、役者の顔を青く塗ったもので、服装からも生前の生活を想像できるという、人間に近い姿になっています。

一方、本作のゾンビは、腐乱死体やミイラのような外見をしています。

顔も腐っており服もボロボロになっていて、個々の見分けがつかないようになっています。

ゾンビたちは、粘土を塗り付けてラテックスで仕上げる方法により腐った皮膚を表現しており、人体を崩すのを楽しむかのような造形になっています。

数百年前に死んだスペイン人の征服者のゾンビ(通称:ミミズゾンビ)などは、眼窩に本物のミミズを仕込むというこだわりようです。

この徹底したグロテスクな表現は、ロメロのゾンビとはまた違った魅力を生み出しています。

グログロのゴア描写

本作はゴア描写にも徹底してこだわっており、臓物をゾンビに食べられたり、喉笛を噛みちぎられて大流血するなど、残酷シーンがいくつも出てきます。

特に注目すべきは、家の中でゾンビに襲撃された医者の妻が追い詰められていくシーンでしょう。

ゾンビから逃れ部屋に立てこもったものの、木製のドアを破られて引きずり出され、尖った木片で目を串刺しにされるのです。

木片が迫ってくる様子を人の目線のカメラでも撮影し、突き刺さる瞬間にはプニッとした眼球の柔らかさまでも表現するという、見ているだけで痛みが伝わってくるシーンなのです。

フルチ監督は、人体の破壊に徹底してこだわりぬき、おぞましい表現を「芸術」と呼んでいました。

おぞましいものは美しいという、逆説的な芸術なのでしょう。

サメVSゾンビの異次元対決

本作には、水中でサメとゾンビが格闘するという迷シーンがあります。

海のキレイさにサメの躍動感、そしてゾンビという、一種の芸術のようなシーンです。

このシーンは、プロデューサーが当時ヒットした「ジョーズ」の要素を取り入れたいと要望したことで作られたと言われ、イタリア映画界の商魂のたくましさに脱帽させられます。

撮影はホンモノのサメとスタントマンを使った危険なものであり、現在の映画では見ることができません。

これだけでも本作は一見の価値があるといえるでしょう。

まとめ

醜悪なゾンビや襲われる人間など、徹底して人体の破壊描写にこだわった作品です。

社会風刺などクソくらえ、とにかく残酷なものを見せるという、純然たるエンターテイメントに徹しています。

ロメロの「ゾンビ」とはまた違った魅力を持つ、映画の歴史に残る傑作と言えます。

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