「吸血鬼ドラキュラ」は、1958年公開のホラー映画です。
19世紀のトランシルヴァニアを舞台に、吸血鬼ドラキュラ伯爵とヴァン・ヘルシング教授の死闘を描いた作品です。
ブラム・ストーカーの小説「吸血鬼ドラキュラ」を原作に、イギリスのハマー・フィルム・プロダクションが映画化したものです。
この記事では、作品情報、見どころをネタバレ無しで語っていきます。
吸血鬼ドラキュラ(字幕版)
作品情報
予告動画
概要
本作は、ホラー映画史上屈指の傑作として、現在も高い評価を受けています。
ブラム・ストーカーの小説「吸血鬼ドラキュラ」を、イギリスのハマー・フィルム・プロダクションが映画化したものであり、低予算ながら世界中で大ヒットして製作費対興行収入のギネスにも載りました。
本作では、吸血鬼ドラキュラ伯爵とそれに立ち向かう人々の心理戦を描いており、テンポ良くストーリーが展開していきます。
ドラキュラ伯爵を演じたクリストファー・リーの圧倒的な存在感も見どころであり、本作をきっかけにリーは戦後を代表するドラキュラ俳優となっていきます。
初のカラーフィルムによるドラキュラ映画であり、美しい映像表現も必見です。
スタッフ・キャスト
- 監督:テレンス・フィッシャー
- 脚本:ジミー・サングスター
- 原作:ブラム・ストーカー
- 製作:アンソニー・ハインズ
- 撮影:ジャック・アッシャー
- 作曲:ジェームズ・バーナード
- キャスト:ピーター・カッシング(ヴァン・ヘルシング博士)、クリストファー・リー(ドラキュラ伯爵)、マイケル・ガフ(アーサー・ホルムウッド)、メリッサ・ストリブリング(ミナ・ホルムウッド)、ジョン・ヴァン・アイゼン(ジョナサン・ハーカー)
あらすじ
1885年、司書として雇われたイギリス人のジョナサン・ハーカーは、トランシルヴァニアのドラキュラ城を訪れます。
城に着くと、突然若い女性が現れ、ジョナサンは女性から「助けてほしい」と懇願されます。
困惑するジョナサンの前に、ドラキュラ伯爵が姿を現します。
ドラキュラ伯爵は女性を追い払うと、ジョナサンと挨拶を交わし、部屋へと案内します。
部屋で一人になったジョナサンは、日記にドラキュラ城に来た理由を書き綴ります。
それは、吸血鬼ハンターとしてドラキュラ伯爵を倒すというものでした。
見どころ
クリストファー・リーの存在感
なんといっても、ドラキュラ役の俳優クリストファー・リーの圧倒的な存在感が見どころです。
193㎝のスタイリッシュな長身に、定番アイテムの黒いマントを着こなす姿は、これ以上ない適役ですね。
一瞬だけ「怪物か?」と思わせて、普通の人間だと分かる初登場シーンはインパクト絶大です。
一見、長身の英国紳士という風貌なのですが、タダ者ではないという雰囲気がヒシヒシと伝わってくるのです。
そして、紳士から怪物の演技のギャップも最高ですね。
SFXの無い時代は俳優の演技力に頼るしかないのですが、ドラキュラの怪物性を見事に演じきっています。
充血した目に、むき出しのキバに血を滴らせる姿は、今見てもド迫力です。
クリストファー・リーが戦後を代表するドラキュラ俳優になったのも頷けますね。
カラーフィルムならでの映像表現
カラーフィルムならではの映像表現も、本作の魅力です。
光の加減でドラキュラ伯爵を一瞬だけ怪物に見せたり、暗い屋敷に差し込む絶妙な光線の加減など、光を利用した演出には目を見張るものがあります。
また、登場人物のファッションや、部屋を灯すロウソク、重厚感漂う家具、精巧な細工の施された調度品、窓のステンドグラスなど、その気品にあふれた美しさが存分に伝わり、ドラキュラの世界観を見事に表現しています。
人間とドラキュラの心理戦
太陽光やニンニク、十字架と、ドラキュラは多くの弱点を持っていて、やり方次第では人間でも倒せそうなのですが、そう簡単にはいきません。
ドラキュラも弱点は心得ていて、棺桶に入って移動してきたりと、巧みに人間の裏をかいてくるのです。
このドラキュラと人間の駆け引き・心理戦にはアクション・スリラーとしての面白さがあり、見ごたえがあるのです。
本作では、81分という時間に凝縮された、よりスピーディーでテンポの良い展開を楽しむことが出来ます。
まとめ
美しい映像と、テンポの良い展開、効果的な演出も相まって、ホラー映画の史上屈指の傑作というべき仕上がりとなっています。
クリストファー・リーの存在感と怪演にも圧倒される、いつまでも記憶に残る作品ですね。