「地獄のデビル・トラック」は1986年公開のアメリカのSFホラー映画です。
彗星の影響による地球上の機械の暴走がもたらす恐怖を描いています。
ベストセラー作家のスティーブン・キングが、唯一、監督を務めた作品でもあります。
この記事では、作品情報、見どころを語っていきます。
地獄のデビル・トラック[DVD]
作品情報
予告動画
概要
ホラー小説の大家スティーブン・キングが監督・脚本を務め、自らカメオ出演もしている作品です。
キングが監督を務めたのは、唯一この作品だけです。
地球の付近を通った彗星の影響により、機械が暴走して人間を襲うというストーリーを、真正面から映像化しています。
トラックや車はもちろんのこと、自販機や芝刈り機、電動ナイフまであらゆる機械が暴走しているので、人間が襲われる様々なシチュエーションを見ることができます。
ガバガバな設定と大味なストーリー展開が魅力でもあり、シュールな空気感が作品全体を覆っています。
キングがファンだったというAC/DCが担当した音楽にも注目です。
スタッフ・キャスト
- 監督:スティーブン・キング
- 脚本:スティーブン・キング
- 製作総指揮:メル・パール、ドン・レビン
- 製作:マーサ・デ・ラウレンティス
- 撮影:アルマンド・ナンヌッツィ
- 音楽:AC/DC
- キャスト:エミリオ・エステベス(ビル)、パット・ヒングル(ヘンダーショット)、ローラ・ハリントン(ブレット)、イヤードリー・スミス(コニー)、ジョン・ショート(カート)
あらすじ
地球の付近を通過した彗星の影響で、地球上の全ての機械が暴走を始めました。
トラックや自動車、芝刈り機、自販機、電動ナイフなど、大小関係なくあらゆる機械が人間を殺そうと動き出し、犠牲者は続出していきます。
主人公ビルの働くガソリンスタンドでも、無人のトラックが動き出して人を襲い始めます。
次第に別のトラックも集まってきて、ガソリンスタンドの従業員と客は完全に閉じ込められてしまいます。
閉じ込められた人々は、生き残りをかけて様々な方策を練っていきます。
見どころ
これぞB級映画
機械が暴走して人類に反抗するという、中二病的な発想を堂々と映像化しており、ツッコミどころが満載で楽しめます。
冒頭から、暴走した機械の画面に「ファックユー」だの「アスホール」という煽りメッセージが出てくるので、肩肘張らずに楽しめばいいことが分かってきます。
自販機から缶ジュースを発射して殺害したり、ラジコンが犬の口に突っ込んで犬を殺害したり、AC/DCの曲をバックにロード―ローラーが少年を踏み潰したりと、ほとんどコメディのような描写です。
電動ナイフに襲われるシーンでは、人が自ら腕を近付けているようにしか見えません。
人が制御できる車や武器もあったりして、そもそも、暴走する機械と制御できる機械の定義が曖昧なんです。
とにかく、その場のノリと勢いを楽しめばいいということなんですね。
ゆる~い登場人物たち
前半では、暴走トラックに襲われるという「激突!」のような展開が繰り広げられますが、襲われるカップルがトラックの攻撃をかわした途端に安堵してイチャイチャし始めたりと、どことなくゆるい空気が漂います。
トラックに追われた人々が郊外のガソリンスタンドに立てこもり、「ナイト・オブ・ザ・リビングデッド」のように緊張感あふれる密室劇になるかと思いきや、そうでもありません。
ゾンビ映画のように人間同士のいざこざで自滅するようなこともなく、呑気にサンドイッチを頬張っていたり、夜になるとセックスをするカップルもいたりと、ノー天気で緊張感のかけらもありません。
機械に殺された人を目の前で見ているにも関わらず、「それとこれとは別」と割り切る登場人物のゆるさもまた魅力の一つですね。
まとめ
ホラー映画でありながら、ガバガバな設定とゆるい登場人物、シュールな空気感で、怖さを感じずに安心して鑑賞できます。
スティーブンキング自ら失敗作と言っていますが、不思議な魅力のある作品でもあり、B級映画が好きな人には楽しめるのではないでしょうか。