「マッドライダー」は、1983年にイタリアで製作されたSFアクション映画です。
核戦争後の荒廃した地球を舞台に、水資源を巡る悪党一味との攻防を描いています。
邦題からも分かるように、人気映画「マッドマックス2」の影響を色濃く受けた作品です。
この記事では、作品情報・見どころを語っていきます。
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作品情報
予告動画
概要
「マッドマックス2」の世界的大ヒットを受けて、イタリア映画界は数多くの模倣作品、言わばマカロニ・マッドマックスを生み出しました。
その中でも本作は、おそらく唯一、日本での劇場公開にこぎつけることの出来た作品です。
核戦争の影響で砂漠化した地球で、生存者コミュニティと暴走集団が限られた資源をめぐって争い、そこに流れ者の主人公が絡んでいくという展開など、世界観やストーリーはほぼ「マッドマックス2」を踏襲しています。
暴走集団を率いるクレイジー・ブルも、「マッドマックス2」のウェズに便乗したキャラであり、登場したときは思わず笑ってしまいます。
低予算ながら迫力のあるカーアクションや、スーパーカーに仕込まれたギミックにも見ごたえがあります。
主人公の人でなしな所もまた注目に値します。
スタッフ・キャスト
- 監督:ジュールス・ハリソン
- 製作:カミロ・テッティ
- 脚本:エリザ・ブリガンティ、ダルダーノ・サケッティ、ホセ・トラチャッド・レイズ
- 撮影:アレハンドロ・ウローア
- 編集:アドリアーノ・タグリアルビア
- 音楽:デット・マリアーノ
- キャスト:ロベルト・イヌアッチ(エイリアン)、ルカ・ベナンチーニ(トミー)、フレッド・ハリス(クレイジー・ブル)、アリシア・モロ(トラッシュ)、アラン・コリンズ(パピヨン)
あらすじ
時は西暦3000年。核戦争によるオゾン層破壊の影響で地球には雨が降らなくなり、地表はほとんどが砂漠化していました。
文明も崩壊したことでアウトローたちがのさばり、限られた水資源を巡って壮絶な争いが繰り広げられています。
生存者たちはコミュニティを作り、水源を求めて給水隊を繰り出したのですが、暴走集団クレイジー・ブルの妨害で皆殺しにされてしまいます。
ただ一人生き残った幼いトミーは、ふとしたことで主人公エイリアンと出会い、2人で水源探しの旅に出ることになります。
見どころ
カーアクションの迫力
マッドマックスほどのスケール感は無いものの、トレーラー2台で車を挟んで爆発させるなど、カーアクションにはなかなか見ごたえがあります。
予算の制約を考えれば、十分な仕上がりだと思います。
主人公の乗り回すV8・800馬力のスーパーカー・エクスターミネーターも素晴らしいです。
フロントバンパーに機関砲を装備していたり、フロントガラスの開閉式の装甲シャッターになっていて、閉じた状態では車内のモニターで外の様子を見るという、昭和特撮感の溢れる魅力的なガジェットなのです。
惜しむらくは、荒野の走行シーンが多く、800馬力を見せつける機会があまりないことでしょうか。
マヌケ&クズな主人公
ロバート・イヌアッチ演じる主人公エイリアンは、冒頭でエクスターミネーターを駆って颯爽と登場するものの、油断したスキにエクスターミネーターを盗まれてしまいます。
近くにあった車で追跡をするも、事故を起こして車が逆さまになり、脱出不可能になって死にかけるというマヌケっぷりを初っ端から披露してくれます。
さらに、生存者コミュニティの子どもに協力すると見せかけて、「俺はガキのために水を持ってく気はないぜ」「水を積んだら俺たちでいただこう」「売りさばいちまおう」と気持ちのいいくらいのクズっぷりを披露してくれます。
ヒロインにも「最低ね」と言われてしまいます。
当たり前ですね。
主人公は「未来なんかどうでもいい」「大切なのは今生きのびることだ」と北斗の拳に出てきた種モミじいさんを冒涜するようなセリフも吐いています。
これではクレイジー・ブルとやっていることが一緒です。
このヒーローにあるまじき姿も面白さの一つですね。
まとめ
清々しいくらいにマッドマックス2をパクり、投げやりなラストにも脱力するかもしれませんが、各所に散りばめられたオリジナル要素も光っています。
パクリこそ創作の原動力であり、新たな作品への可能性を秘めていることを感じさせてくれる、エネルギーに溢れた作品だと思います。