ザ・フォッグは、1980年に公開されたアメリカのホラー映画です。
港町を包む濃霧の中から現れた亡霊がもたらす恐怖を描いています。
監督・脚本・音楽は「ハロウィン」のジョン・カーペンターが担当しています。
この記事では、作品情報・見どころを語っていきます。
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作品情報
予告動画
概要
本作は、ジョン・カーペンター監督が出世作「ハロウィン」に続いて放った作品です。
トム・アトキンスにエイドリアン・バーボー、ジェイミー・リー・カーティスといったカーペンターファミリーも多く出演しています。
アントニオ・ベイという閑静な港町に、奇怪な白い霧が発生し、そこから現れた亡霊たちが人々を次々と襲っていくというストーリーとなっています。
グロテスクな描写はほとんどなく、状況や舞台設定、演出を工夫することで観客の想像力を掻き立て、より恐怖を感じる作品となっています。
2005年にはルパート・ウェインライトが監督を務めたリメイク版も公開されました。
スタッフ・キャスト
- 監督:ジョン・カーペンター
- 製作:デブラ・ヒル
- 脚本:ジョン・カーペンター、デブラ・ヒル
- 製作総指揮:チャールズ・B・ブロック
- 撮影:ディーン・カンディ
- 美術:トミー・リー・ウォーレス
- 音楽:ジョン・カーペンター
- 編集:トミー・リー・ウォーレス チャールズ・ボーンスタイン
- 特撮:ディック・アルベイン・Jr.
- キャスト:エイドリアン・バーボー(スティーヴィー・ウェイン)、ジェイミー・リー・カーティス(エリザベス・ソリー)、ジャネット・リー(キャシー・ウィリアムズ)、ハル・ホルブルック(マローン神父)、トム・アトキンス(ニック・キャッスル)
あらすじ
カリフォルニアの小さな港町アントニオ・ベイは、街の誕生100周年記念祭に沸いていました。
ところが、夜になって突然現れた濃霧が街を覆い、あちこちで不思議な現象が起こり始めます。
あくる朝、街の女性議長キャシーは、町はずれの教会に向かい、そこで神父から街の呪われた歴史を聞かされます。
100年前に難破した船の乗組員が復讐のために戻ってくるというのです。
その夜、再び街は霧に包まれていくのでした。
見どころ
演出の巧みさが光る恐怖映画
本作は、ほとんど直接的なゴア描写は無いものの、恐怖を感じさせる演出の巧みさが光る作品となっています。
冒頭の焚火のシーンで老人が子供たちにいわくつきの難破船のことを語ったり、教会の壁の中から出てきた古い日記で街の歴史を語ったりと、じっくりと作品世界に浸らせてくれます。
直接的な恐怖表現も控えめで、霧が立ち込めると何かの異変が発生するという演出を徹底しています。
コンビニの商品が突然倒れたり、ガラスが突然割れたり、何者かがドアをコンコンと叩いたり、漂流するボートの中で亡霊に殺された遺体が出てきたりと、「ジョーズ」のような間接的な表現を繰り返すことで、見る者の想像力を掻き立て、より恐怖を感じさせるのです。
亡霊が全身を見せず、霧の中にうっすらとシルエットが見えるという描写もより恐怖を煽ってくれます。
霧が静かに街を包んでいくのを見て、エイドリアン・バーボー演じるシングルマザーのラジオDJが、リスナーに必死で危険を訴えるというシーンも、臨場感を盛り上げてくれます。
これらの演出が十分すぎるくらいに恐怖感を盛り上げており、残酷描写そのものはホラーの本質とは関係が無いことが分かってきます。
まとめ
本作に出てくる亡霊には特殊メイクすらありませんが、演出の巧みさでとても恐ろしい存在であることを感じさせてくれます。
亡霊が迫ってくる様子を霧の侵入で表現するという描写も素晴らしいですね。
舞台や状況の設定、演出や描写の巧みさで、怖い映画は作れることが分かる、ホラー映画の教科書のような作品に仕上がっています。