「ニューヨーク1997」は、1981年公開のアメリカの近未来SF映画です。
巨大な刑務所に改造されたマンハッタン島を舞台に、大統領救出に挑む元特殊部隊隊員の戦いを描いています。
主人公のスネーク・プリスキンのハードボイルドなキャラクターは時代を超えた魅力を放ち、人気ゲームメタルギアソリッドにも影響を与えました。
この記事では、作品情報・見どころを語っていきます。
ニューヨーク1997
作品情報
予告動画
概要
本作は、「ハロウィン」「遊星からの物体X」「ゼイリブ」など、数々の名作を生み出したジョン・カーペンターが監督を務める近未来SF映画です。
管理国家となった近未来のアメリカで、15メートルの塀に囲まれ300万人の囚人がひしめくという、巨大な刑務所に改造されたマンハッタン島を舞台に、元特殊部隊隊員スネーク・プリスキンの戦いを描いています。
長髪に無精ヒゲ、左目にアイパッチという風貌のスネークはハードボイルドな魅力を放っており、「メタルギアソリッド」のソリッド・スネークのモデルになったことでも有名です。
スネークのキャラクター性に加え、荒廃したディストピア的な世界観も相まって数々の作品に影響を与え、今なお根強い人気を誇る作品でもあります。
1996年には続編「エスケープ・フロム・L.A.」が製作されました。
スタッフ・キャスト
- 監督:ジョン・カーペンター
- 製作:ラリー・J・フランコ、デブラ・ヒル
- 脚本:ジョン・カーペンター、ニック・キャッスル
- 撮影:ディーン・カンディ
- 美術:ジョー・アルブス
- 音楽:ジョン・カーペンター、アラン・ハワース
- キャスト:カート・ラッセル(スネーク・プリスキン)、リー・バン・クリーフ(ボブ・ホーク)、アーネスト・ボーグナイン(キャビー)、ドナルド・プレザンス(大統領)、アイザック・ヘイズ(デューク)、ハリー・ディーン・スタントン(ブレイン)、エイドリアン・バーボー(マギー)
あらすじ
近未来のアメリカでは、犯罪増加率が400%を超え、ニューヨークのマンハッタン島は島全体が巨大な監獄となり、300万人の囚人がひしめく無法地帯と化していました。
ある日、大統領専用機がテロリストにハイジャックされマンハッタン島に墜落し、大統領は脱出ポッドで生き延びたものの、凶悪な囚人グループに捕らわれ人質となってしまいます。
警察本部長のホークは、元特殊部隊の英雄でありながら、武装強盗で終身刑の判決を受け収監される予定であったスネーク・プリスキンを、無罪放免を条件に大統領の救出任務にあたらせます。
嫌々ながらも救出作戦に同意したスネークは、囚人たちのうごめくマンハッタン島へと単身乗り込んでいきます。
見どころ
主人公・スネークのカッコよさ
何といっても一番の魅力は、主人公のスネーク・プリスキンのハードボイルドなカッコよさでしょう。
ワイルドな長髪に無精ヒゲ、左目にアイパッチという出で立ちで、常に武骨で不機嫌な表情を浮かべています。
アウトローを絵にかいたようなキャラクターあり、くわえタバコがよく似合いますね。
ミリタリールックのファッションに身を固め、夜のマンハッタンを悠然と歩く姿は実に様になっています。
「スネーク」というのはあだ名であり、「プリスキン」と呼ばれるたびに「スネークと呼べ」というニヒルな決めゼリフも味わい深いものがあります。
スネークは超人的な戦闘力を持っているわけではなく、敵から逃げ回り、ピンチに陥ることもよくあります。
スネーク流のハードボイルドとは、権威に屈しない反骨精神、生き方そのものにあるのです。
ラストの名シーンを見ればそのことが分かってきます。
世紀末の世界観
本作におけるアメリカは、自由の国から管理国家へと変貌したディストピア国家であり、マンハッタン島を脱獄不可能な巨大な監獄に仕立て上げています。
そのマンハッタン島は、荒廃したビル街を囚人たちが支配しているという「北斗の拳」のような世紀末的な世界になっています。
そこでは、演劇が上演されていたり、プロレスの試合が行われたりと、荒廃してはいるものの、都市国家のようになっています。
夜になると、どこからともなく囚人たちが現れ、食べ物を求めてうごめくというゾンビ映画のような世界でもあります。
その荒廃した世界を、主人公が探索していく姿は、自分がホラーゲームのプレイヤーになったような臨場感があります。
その後に作られた様々な作品にも影響を与えていることが分かります。
低予算をカバーするアイディア
総額600万ドルという低予算をカバーするために、様々な撮影手法が取られています。
冒頭のマンハッタンのCG風のイラストは、段ボール箱にガムテープを貼ってブラックライトを当てたものです。
また、スネークが夜のマンハッタン島に侵入を試みるシーンでは、グライダーの暗視装置のモニターにマンハッタン等の摩天楼の風景映像が映し出されます。
これは、ミニチュアをリスフィルムで撮影して光学合成をかけるという、予算のかからない手法で撮影しています。
さらに、荒廃したビル街は、ニューヨークではなく、大規模火災が発生したセントルイスのダウンタウンで撮影しています。
大規模火災のせいで、街に適度な空き空間があり、荒廃した感じがうまく表現できたというわけなのです。
これらの様々なアイディアが、本作の世界観を作り上げるのに役立っているのです。
まとめ
主人公のダークヒーローとしての魅力や、荒廃したディストピア的な世界観など、様々な魅力があり、今なお根強いファンを持つ作品です。
低予算でありながら、独特の映像世界を作り出すことに成功しており、今も色あせない魅力があります。