「ピラニア」は、1978年公開のアメリカのパニックホラー映画です。
生体兵器として改良された肉食ピラニアのもたらす恐怖をスリリングに描いた作品です。
この記事では、作品情報、あらすじを語っていきます。
ピラニア [DVD]
作品情報
予告動画
概要
本作は、「ジョーズ」の世界的大ヒットを受けて数多く製作された動物パニック映画の一つであり、テキサス州に突如現れたピラニアが巻き起こす惨劇を描いています。
低予算を逆手に取った、勢いとアイディアに溢れる作品であり、わずか1億円の予算で40億円の大ヒットを記録しています。
製作総指揮はB級映画の帝王ロジャー・コーマンであり、本作では若い才能に積極的にチャンスを与えています。
当時、監督のジョー・ダンテは31歳、脚本のジョン・セイルズは26歳、特殊メイクのロブ・ボッティンに至ってはわずか18歳であり、これら若きスタッフの情熱が画面から伝わってきます。
「ジョーズ」を作ったスティーブン・スピルバーグも、「ジョーズの模倣映画の中で最高の作品」と本作を評価しており、ダンテの才能にも着目して、後の「グレムリン」では一緒に組んで仕事をしています。
スタッフ・キャスト
- 監督:ジョー・ダンテ
- 脚本:ジョン・セイルズ
- 原作:リチャード・ロビンソン ジョン・セイルズ
- 製作総指揮:ロジャー・コーマン ジェフ・シェクトマン
- 製作:筑波久子
- 撮影:ジェイミー・アンダーソン
- 美術:ビル・メリン
- 音楽:ピノ・ドナジオ
- キャスト:ブラッドフォード・ディルマン(ポール・グローガン)、ヘザー・メンジース(マギー・マッキューン)、ケヴィン・マッカーシー(ロバート・ホーク博士)、キーナン・ウィン(ジャック)、バーバラ・スティール(メンジャース博士)、ブルース・ゴードン(ワックスマン大佐)、ディック・ミラー(バック・ガードナー)
あらすじ
テキサスの山中にある謎の施設に、10代のカップルが迷い込みます。
そこにはプールがあり、寝る前に水浴びをしようと2人は飛び込みますが、謎の生物に襲われ2人はプールに沈んでしまいます。
行方不明になった2人の捜査を依頼された調査代行会社の捜査員マギーは、山小屋に一人娘と暮らしているポールを案内人に雇い、施設へと辿り着きます。
マギーはプールの脇で2人の手がかりを見つけ、安否を確認するためにプールの水を抜いて河川に流してしまいます。
そのプールには、アメリカ陸軍の生体兵器として品種改良されたピラニアが飼育されていたのでした。
みどころ
バカがバカを呼ぶ負の連鎖?
本作は、登場人物がすべて間違った選択をして大惨事を呼ぶという、ブラックコメディともいえる作品です。
遺伝子操作したピラニアをプールで飼育していたホーク博士を筆頭に、冒頭の10代のカップルはいかにも怪しいプールに飛び込みますし、マギーも勢いでプールの排水蛇口を開けて水を抜いてしまいます。
ピラニア流出を隠蔽しようとしたワックスマン大佐や、リゾート会社の悪徳社長のガードナーもまた然りです。
後先考えず突っ走って誰も反省しないという、「お前のせいだろ!」と言いたくなる人物ばかりです。
ゾンビ映画もそうですが、人間が一番怖いということを皮肉たっぷりに描いています。
「ジョーズ」へのオマージュ
途中までピラニアがなかなか姿を見せない展開、魚の目線で泳いでいる人間の身体を捉えるというカメラアングル、血まみれの人間で被害を伝える演出は、ジョーズを意識したものでしょう。
こうすることで、姿をあまり見せなくてもピラニアの恐ろしさが伝わり、緊張感が持続していきます。低予算を逆手に取った演出の妙です。
また、主人公のポールは飲んだくれのダメな父親なのですが、娘の命に危機が迫ったことで、ピラニアの群れと戦う強い父親に変わっていくのです。
さらに、リゾート会社の社長ガードナーも人命よりも経済的利益を重視して、川べりでの自社PRイベントを強引に開催して、被害を拡大させています。
この辺りも、ジョーズを意識した人間ドラマですね。
こうしてジョーズのエッセンスを踏襲したことで、本作もスリリングで面白い作品になっています。
まとめ
ジョーズ流の演出・ストーリー展開をうまく取り入れ、女子供も容赦なく血祭に挙げる残虐シーンも見ごたえがあります。
後先考えず突っ走る登場人物の行動も見ものです。
低予算ながら、動物パニック映画の傑作と言える作品です。