映画「プラン9・フロム・アウタースペース(1959)」伝説の“史上サイテー映画”

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「プラン9・フロム・アウタースペース」は、1959年製作のSFホラー映画です。

1980年出版の『ザ・ゴールデン・ターキー・アワーズ』で史上最低の映画に選ばれ、一部のファンからカルト的な人気を得る怪作です。

監督・脚本・製作は、こちらも史上最低の映画監督として名高いエド・ウッドです。

この記事では、作品情報・みどころを、なるべくネタバレ無しで語っていきます。


プラン9・フロム・アウタースペース【総天然色版】(字幕版)
目次

作品情報

予告動画

概要 

宇宙皇帝の命を受けた宇宙人が、戦いを好む地球人を戒めるために「第9計画(プラン9)」を発動するという、一見、本格的なSF映画かと思いきや…、そんなことは全くありません。

チープすぎる特撮技術、場面転換のぎこちなさ、学芸会のようなセット、意味不明なセリフ、台本棒読みの演技、盛り上がり所の無い脚本構成などなど、あまりにもクオリティが低いのです。

エド・ウッドの製作したもう一つの史上最低映画「死霊の盆踊り」と比べたら、それなりにストーリーの軸はあります。

パロディ映画のように観客を笑わせようとしてはいません。制作陣が真剣に作っているのは伝わってきます。

エド・ウッド監督は「自信たっぷりに撮り上げた」とも言われています。映画にかける情熱はホンモノなのです。ただひたすらにクオリティが低かっただけなのです。

本作はあまりのクオリティの低さに上映権の買い手がつきませんでしたが、テレビ局に買い叩かれて深夜に何度も放送されるうちに、カルト的な人気を博すようになります。

日本でも1995年に劇場公開され、2020年1月には、新宿シネマカリテで開催された「サイテー映画の大逆襲2020!」でカラー版が上映されるなど、熱狂的なファンを持つ作品でもあります。

スタッフ・キャスト

  • 監督:エドワード・D・ウッド・Jr.
  • 製作:エドワード・D・ウッド・Jr.
  • 製作総指揮:J・エドワード・レイノルズ
  • 脚本:エドワード・D・ウッド・Jr.
  • 撮影:ウィリアム・C・トンプソン
  • 編集:エドワード・D・ウッド・Jr.
  • キャスト:ベラ・ルゴシ、トー・ジョンソン、バンパイラ、クリスウェル、グレゴリー・ウォルコット

あらすじ

舞台は冷戦時代のアメリカ。

旅客機のパイロット、ジェフ・トレントは、飛行中に謎の円盤を目撃します。

それは、人類の軍拡競争を警告するためにやってきた宇宙人の乗った円盤でした。

宇宙人はアメリカ政府とのコンタクトを試みますが、軍上層部は宇宙人のメッセージが理解できず、円盤を攻撃してしまいます。

人類の行いに失望した宇宙人は、第9計画(プラン9)の実行を決意し、墓場の死体を蘇らせていきます。

みどころ

映画作りへの情熱は伝わってくるのだが・・・

映画作りへの情熱は伝わってくるのですが、全体的に粗雑な作りで学芸会のレベルなのです。

旅客機のパイロットが円盤を目撃するシーンでは、コクピットの座席はただの事務イス、操縦桿は木の板をテキトーに動かしているだけと、とてもコクピットには見えません。

コントに出てくるクオリティです。

円盤が現れるシーンでも、最初から釣り糸がモロに見えており、それも一本しかなく円盤がフラフラと不安定に揺れ動くので、上から吊っているのが丸分かりです。

劇中に何度も出てくる墓石は段ボール製で、キャストが倒れた振動でペラペラと揺れ動きます。

円盤の内部のセットは、地球製にしか見えない机と無線機が置いてあるだけで、普通の木造住宅にしか見えません。

アメリカ軍が円盤を攻撃するシーンでは、予算が無いのか、朝鮮戦争の記録映像を流用しています。

そのおかげで、対地攻撃用のロケット弾で空飛ぶ円盤を攻撃するという荒業を披露してくれています。

さらにこの場面に、指揮官が双眼鏡を覗き込む姿が編集で織り込まれるのです。

双方のフィルムの質感が全く違うので、指揮官の姿をスタジオで撮影しているのが丸分かりで、とても切なくなります。

同じ人物を2人の役者が演じている

墓場から蘇る老人役として、ドラキュラで有名な俳優のベラ・ルゴシを起用していますが、撮影を開始して間もなくベラ・ルゴシは亡くなってしまいます。

そのため、撮影済みのベラ・ルゴシの出演シーンを何度も使い回すのですが、たまたま後ろを通った車が映り込んでいたりします。

それでも足りないシーンは、代役として監督の知り合いの歯医者を起用しています。

この代役がベラ・ルゴシにほとんど似ていないので、代役が出てくるときには、マントを両腕で持ち上げて顔を隠すようにしています。

老人はそれなりに重要な役なのに、顔出しのベラ・ルゴシとマントで顔を隠した代役が目まぐるしく入れ替わり、不自然で気になってしょうがないのです。

人間を襲うために寝室に忍び込んでも、マントで顔を隠していて手が使えないので、そのまま突っ立ってるだけ…。

何をしにきたのでしょうか。

とってもグダグダな宇宙人

宇宙皇帝の命令を受けて地球にやって来た宇宙人ですが、その行動は疑問だらけで、とても宇宙人とは思えません。

地球を征服するためのプラン9(第9計画)なのですが、その内容は「墓場の死体を蘇らせて人類を驚かす」という理解に苦しむものです。

その人数はたったの3人、蘇った場所も結構な田舎町なので、人類の営みへの影響は全くナシ!です。

ジュラル星人並みの回りくどさです。

宇宙人は、蘇らせた死体を「電極銃」なるものでコントロールするのですが、故障により死体のコントロールを失い、自らが死体に襲われるというマヌケっぷりです。

この電極銃は、落下の衝撃で故障が直るという昭和レトロ家電のテクノロジーです。

宇宙船の中で地球人と対峙し、自らの理想の素晴らしさを語るのですが、途中から感情的になりバーカ!バーカ!と罵って、地球人にぶっ飛ばされます。

・・・いや、小学生の喧嘩かよ!?

グダグダ過ぎて、高度な文明を持っている宇宙人とは思えません。

まとめ

製作者の映画作りにかける情熱はホンモノです。本作を見ても、熱心に作っていることが伝わってきます。

ただ、それが世間一般の好みとズレてしまっているので、結果として映画史上に残る怪作になってしまったのでしょう。

それでも、何度も見ているうちに、不思議な魅力に取りつかれてしまう作品でもあります。

映画の歴史に残したい、愛すべき作品と言えます。

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本ページの情報は2023年2月時点のものです。最新の配信状況はU-NEXTサイトにて
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